「私も、パンケーキとか甘いもの好きなんです。良いお店も知ってて、だから…今度一緒に食べに行きませんか…?」



私がそう言うと、矢熊くんはすごく驚いた表情になった。




「え…まぁ…いいけど」




「え!?」



 ダメ元のつもりだったのに、まさかオッケーしてくれるとは思ってなかった。



「ほんとに!?やった!」



私が喜ぶと矢熊くんは、少しほっぺを赤くして、眉間に皺を寄せた。



「…なんで」

 

え?なんでって、そんなの…



「だって、矢熊くんが可愛いから」



「はあ!?何言ってんの、かわい…とかそんな訳ないだろ」



冷たく言って、そっぽを向く。



でもそれが照れ隠しなのはもうお見通しだった。



わたし、もっと知りたいな、この人のこと。



皆んなから怖がられている君が、本当は可愛いなんてこと。




いつかみんなにも知ってもらいたいけど、


今はまだ私だけが知っていたいな、なんて。




「ねぇ、ねぇ、矢熊くん、食べに行くパンケーキ屋さん、なるべく学校から遠いところにしようね」




「…俺的には、大賛成だけど…なんで?」




私は思いっきり笑顔になった。




「だって、矢熊くん可愛いから!」