「え、矢熊くんでもそういうこと気にするんですね」
驚きと、親近感が湧いてきた。
てか、そもそも矢熊くんをからかうことができる人なんて私の学校にはいないと思うけどね。
「…悪いかよ」
彼は眉間にシワを寄せ、視線を落としてぼそっと呟く。
すごくすごく不機嫌そうな怖い顔をしている。
…でも、よく見ると、頬と耳が少し赤くなっているのが分かった。
あれ、なんかこの人…意外と…
「かわいい…」
「…?なんか言った?」
「あ、いやいや!何でもないです!」
危なっ!
思わず口にしてしまったけど、「かわいい」なんて矢熊くんに聞かれたら、今度こそ本当に怒らせてしまっただろう。