母が小さい頃に教えてくれたこの曲
名前は知らないけれど私はこの曲が大好きだ
幸せだったあの頃を思い出せる
そんな気がして

ずっと弾いていると見知らぬ人男が入ってきた
なにか話しかけてくるわけでもなく、近ずいてくるわけでもなく
何してんだろそう思ったけどすぐ居なくなるだろうと思ったのでそのまま放っておいた

10分、20分、30分....
いつまでいるんだ
さすがに気が散る
なるべく話したくなかったけど仕方なく声をかけた


いつまでいるの
そう言うと男はごめんと謝ってきた
べつに謝ってくれなくても早く出ていって欲しいそう思っていると男と目が合った
細身だがしっかりと筋肉のあるからだと180cm以上あるのではないかと思うほどの高身長
整えられた髪にオシャレな服
一目でここの人では無いなと言うことがわかった
そんなことを考えていると男が自己紹介を始めた
名前は佐伯琥珀
やはり転校してきたらしい

私も名前を問われたので一ノ瀬透愛と答えた
名前を聞かれたのなんて何年ぶりだろう

こいつ変だなとでも思われてるだろう
会話を広げるために自分の自虐を混ぜたりして話す姿に申し訳なさを感じで笑ってしまった

そんな焦ってはなさなくてもいいよ気持ちばかり気を使ってみた
そうだよねごめんごめん
謝って欲しいわけじゃないのに
相手は私より気を使って居るだろう
そんなことさせたくないので早くこの教室から出ていって欲しい
そんな私の願いも程遠く相手はまた話し始めた

何を弾いていたの??
男はそういった

曲名はしらない
それを聞かれた瞬間に頭が真っ白になった

男はそれを察したのだろうか
話題を変えてきた

すあってよんでもいい??俺のことは琥珀でいいから

良くもないけど断る理由も無い
もう合わなければいい話と思い了承した

すあは明日もここにいる?
いるよと答えた瞬間嫌な予感がした

明日もピアノ聞きに来ていい??
予感的中
だめというのも気まずいし、もういいと言わざるおえない
嫌だとこれまで使ったことの無い程の表情筋を使って表しながら別にいいよと言ったつもりだったが相手には伝わらなかった

清々しい程の笑顔でまた明日ねと言い教室を出ていった
最悪だ
まあ明日冷たくすればもう来なくなるだろうそう思うことで心を落ち着かせるようにしてまたピアノを弾き、暗くなったので何事も無かったかのように家に帰った

なるべく音を立てないようにドアを開け一目散に早足で部屋に向かいベットに飛び込んだ

祖母は9時くらいから寝室に行くのでこの時間を見計らってシャワーをし歯磨きをして私も寝た