「こうなることを予期して動いていたんでしょうね。

ここ数日、異常気象のせいかゲリラ豪雨ばかりだし。

まぁ、聡い宝月夫妻ならそうするでしょう。

助言できる執事さんたちも複数人いることだし。

とにかく、風邪ひかなくて済みそうね。

琥珀も油断しちゃダメよ?

風邪ひいても、薬飲めないんだから」

そういえば、そうだった。

こういうときの油断が一番怖いのだ。

とりあえず、椎菜と麗菜ちゃんと、ウチの深明と。久しぶりにお風呂でも入ろっか!

久しぶりだし、たまにはいいよね?

プチ同窓会と洒落込みますか!」

「お、いいね!」

「あ!
やっと見つけたー!

皆、久しぶりー!」

パタパタと駆け寄って来たのは、椎菜だ。

昔と体型はさほど変わっておらず、1児の母親とは思えない。

「おや、琥珀様もお元気そうで。

皆様、お風邪を引かれるといけません。

車を停めてありますので、急ぎましょう」

花火大会会場を出たところで、大きな車が横を通った。
その車に、何だか見覚えがあった。

高校時代に、よく乗せて貰ったリムジンだ。

「あ、桜木(さくらぎ)さん!

こっちこっち!

皆、早く乗って!
風邪引くー!

「くるま、ふかふかー!」

深明ちゃんは、きゃっきゃとはしゃいでいる。

「お伝えし忘れておりました。

別荘に来たら、
琥珀様と優弥さまだけ、先にお部屋へご案内しますね」

相沢さんにそう言われた。

一体、何のつもりだろう?