「天、今日カフェ寄ってこ! 新作の日だぞ~」

「天ちゃん、漫画の新刊出たから持ってきたよ~、読んで!」

「……うん、ありがと」

友達の気遣いはありがたいけど、そのノリにのれない。

はー、とため息が出るしょうもうない私。

「やばい、やばいぞ天の奴! こじらせとる~!」

「もうどうすればいいの~、天ちゃんたぶらかした奴に直談判するしかない!?」

……ごめんね、二人とも。もう少しだけ落ち込んだら、きっと前みたいな私に戻るから。

気持ちを、置いて行かなくちゃ。



「好きです! 一目惚れしてました!」

「……へ?」

私の人生で、そんなことを言われたのは初めてだ。

そして、そんな言葉をもらうことを待ち望んでいた――はずなのに。

「いきなり付き合ってとか言いません。クラス全然違うからおれのこと知らないだろうし、まずは友達から……とか、どうかな?」

不安そうに言う、その人。

確かに会話をしたこともなくて、姿を見たことがある程度の付き合いだ。同じ学年ということしか知らない。

「えと……」

「あっ、いきなりで困らせちゃったかな。おれ、一年の頃から、その……好きでした」

頬を染めて言う、その人。

ずっとこの時を待っていた――はずなのに。