「天、やるじゃん! あいつ理系クラスの王子様だよ」
「天ちゃんに一目惚れしてたから彼女の話とかなかったんだ~」
「………」
どうやら昼休みの彼は有名らしかった。
……友達が盛り上がっているところ悪いのだけど……。
「……わたしは、
「天ちゃん告白されたの!?」
二人に本当のことを言おうとした瞬間、素っ頓狂な声が響いた。
ん? と俯き気味だった顔をあげると――
「誰!? どこの誰!」
友達の一人が声をあげた。
けれど、そこにいたのは。
「え……かい、さん?」
「受けたの!? 答えちゃった!?」
突然の登場に呆気に取られる私の肩を掴んで揺するのは、確かに海さんだ。
こんな至近距離で見る海さんは初めてで、頭の中は混乱している上に沸騰しそうだった。
そこを助けてくれたのは、やはり持つべきものは友。
「――ちょっと待て! あんたか、天をたぶらかしたの!」
「天ちゃんに何するの!? 痴漢!?」
二人が割り込んでくれたから、海さんは至近距離じゃなくなった。
そして二人の行動で、海さんも状況を理解してくれたみたいだった。しまった、って顔になったから。
「二人ともっ、わたしの、その――知ってる人だから大丈夫っ」
海さんのことを友達と言うのは違う気がしたし、けれど何か特別な関係でもないから、『知り合い』という言葉のほかに何と言えばいいのかわからなかった。
私の前にいた二人が同時に私の方を振り向いた。