いつものことだが、あれこれ話しながらの帰り道は、そこそこ距離があるにも関わらず、あっという間だ。

「そしたら…次に会えるのは、ちょうどパーティーの日ですね。楽しみにしてますから」

「うん…おやすみ」

そして、人目のないところで…Un bacio。

イタリア語で、キスを一ついう意味だが「じゃあまたね」という意味もあるらしい。

人目のある場所ではベタベタするのが嫌な私だが、人目さえなければ「じゃあまたね」の意味を込めて、別れ際には軽いキスをひとつ交わしたくなる。

それも、いつからか二人にとって当たり前の習慣になってきていた。

シャワーを済ませて部屋に戻ると、中学時代のアルバムをそっと捲った。

卒業アルバムではなく、当時のクラスメイトや部活仲間たちとの、プライベートなものである。