あれ…？

目覚めたとき、一瞬ここが何処だったか判らなかった。

灯りもついたままになっている。

旅先とはいえ、昨夜もいつものように本を読みながら眠ってしまったらしい。

隣のベッドでは、森川が爆睡している。

時計を見ると、まだ５時だ。

強めに暖房が効いていたせいもあり、寝汗が酷い。

せっかくなので、私はもう一度、部屋の温泉で汗を流すことにした。

あの調子だと、森川は当分起きないだろうから、ゆっくりしよう。

長風呂のあと、髪を乾かしていたら、鏡には森川が背後霊のように映りこんできたので、驚いてしまった。

「ビックリした…おはよう。大丈夫？」

そう尋ねると、森川は、

「おはようございます…。先輩、昨夜の記憶がないんですけど…」

「あれだけ酔ってたら、そうだろうね」

「あの…先輩はどうでしたか…？」

「どうって？」