「森川、おめでとう」

用意していたプレゼントを渡すと、

「ありがとうございます!なんか、夢みたいです…先輩と二人きりの誕生日なんて。開けていいですか?」

「うん。でもあんまり期待しないで」

森川は嬉々として包みを開き、そこにあらわれた、迷彩柄に巨大な髑髏マークの服を、少し不思議そうに眺めていたが、

「あ!これ、先輩とペアルックみたいですね!?嬉しいなぁ、ちゃんと彼氏だって認められた感じがします」

可愛い奴め…。

昔の私ならば、死んでも思わなかったことを、今なら思える。

食事中、森川は烏龍茶しか飲んでいなかったが、バースデーケーキと一緒にワインを飲み始めたので、私は心配になった。

「森川、下戸でしょ?飲んで大丈夫なの?」

「ちょっとだけですよ。情けないんですけど、少しアルコールの力を借りたくて…」

あ…なるほど。 

洋室のベッドを横目で見遣る。