結局、私が部屋の温泉に入っている間に、森川は大浴場へ行くことに。

風呂上がり、真っ赤な髪をドライヤーで乾かしていた。

大浴場から戻ってきた森川は、私の髪を一束摘まんで、

「先輩の髪、真っ赤に染めても傷まないんですか?」

素朴な疑問を投げ掛けてきたので、

「傷むわよ。だから毎日念入りなトリートメントしてるけど、そのうち限界は来るんじゃないかな」

「あ、先輩のいい香りって、トリートメントだったみたいですね」

そう言って、軽く髪にキスされた。

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ここは、なんとも珍しい温泉宿だ。

温泉宿だと、和食中心のイメージだったが、何やら誕生日プランというものがあったらしく、料理も部屋同様に和洋折衷で、最後には小ぶりのバースデーケーキまで出てきた。

部屋を少し暗くして、小さなケーキにキャンドルを灯し、ハッピーバースデーを歌い、森川が一息で火を吹き消す。