「森川、ごめんね。寝不足だったから、つい寝ちゃった…」

「いいんですよ。何しろ、今夜は寝る時間なんてないでしょうから」

今度は、ギラギラを通り越して、ギンギラギンとした目で見つめられて、また少し引く。


温泉宿の部屋に着くと、

「わぁ…!」

ついつい、感嘆して声が出てしまう。

和洋折衷の宿で、部屋も和洋室なのだが、そのバランスというのが何とも絶妙で美しい。

「先輩。ここの部屋のお風呂、蛇口から温泉が出てくるんですよ」

「最高じゃない!実は私、大浴場って苦手だし、部屋で温泉に入れるなら、ここで入ろうっと!」

「一緒に入ります?」

「え、それはちょっと…恥ずかしい」

断ったら拗ねるかと思ったが、森川は何故か満足そうな顔だ。

「よかったです。断ってくれて」

「え?」