「なるほど……どちらにしても、メルーナをラウヴァット男爵家に帰らせることは得策ではないわね。この子のことは、ディートル侯爵家が責任を持って守ってみせるわ」
「ラフェシア様、ありがとうございます。私なんかのために、そこまでしていただいて」
「気にする必要なんてないわ。私達は、友達なのだから」

 ディートル侯爵家が守ってくれるなら、一先ず安心することはできそうだ。
 侯爵家の守りをすり抜けて暗殺するなど、簡単なことではない。充分に警戒もされるだろうし、大丈夫そうだ。

「ラフェシア様、そういうことなら私は王城に向かおうと思います」
「王城に?」
「ええ、イルドラ殿下にメルーナ嬢から教えてもらったことを伝えます。そして彼に協力して、今回の件を終わらせます」

 私がやるべきことは、決まっている。
 アヴェルド殿下の身勝手から始まったこの件を、終わらせることだ。
 それは最早、エリトン侯爵家の利益とかイルドラ殿下への義理とか、そういった問題ではない。私はこんなふざけたことをした者達に、心の底から罰を受けさせたいと思っているのだ。