私は、ディートル侯爵家の屋敷に留まっていた。
 ラフェシア様のご厚意によって、メルーナ嬢はこちらで保護してもらっている。そんな彼女を引き止めた者として、私もここにいるべきだと思ったのだ。

「つまり、リルティアは今回の件がアヴェルド殿下による暗殺だと思っているということなのね?」
「ええ、その可能性はあると思うんです」

 私はラフェシア様とメルーナ嬢に、自分の推測を伝えてみた。
 二人は、神妙な面持ちをしている。私の推測は、どう思われているのだろうか。そこまで間違ってはいないと思うのだが。

「まあ、確かにアヴェルド殿下にとって私やお父様は邪魔者なのかもしれません。ネメルナ嬢との婚約が決まったら、当然お父様はごねていたでしょうし……」
「まあ、三人いた令嬢の内一人が婚約なんてことになったら、他の二組の貴族達は快く思わないでしょうね」