ただ、彼は王族にまつわる陰謀の中心的な人物だ。そんな彼が亡くなったということには、何かしらの陰謀があるような気がしてならない。

 例えば、アヴェルド殿下などはどうだろうか。
 王族が嗅ぎまわっていることを察知した彼が関係人物を狙っている。その可能性は、ないという訳でもない。

「メルーナ嬢、申し訳ありませんが、ラウヴァット男爵家に戻るのは待ってください」
「え?」
「もしかしたら危険かもしれません。あなたも……狙われているかもしれない」

 私は、メルーナ嬢にそう声をかけた。
 今彼女をラウヴァット男爵家に戻らせるべきではない。そう思ったのだ。