「……まあ、当然のことかしらね」
「こうして、オーバル子爵もアヴェルド殿下に優遇してもらえるようになったのです」

 メルーナ嬢は、そこで一旦言葉を区切った。
 それは恐らく、これから話すのが自分のことであるからだろう。話の流れ的に、次に出てくるのはラウヴァット男爵家だ。

「モルダン男爵家のシャルメラ嬢は、ラウヴァット男爵家の長男――つまりは私の兄と、婚約するという話がありました」
「そうだったのですか……」
「それでラウヴァット男爵――つまり私の父は、シャルメラ嬢のことを調べていました。その過程で、それらの事実を知ったのです」

 二つの家に婚約の話が出ていたということは、恐らく調べればわかったことだろう。
 それはなんとも、わかりやすい繋がりだ。ただ結果的には、その婚約は成立しなかったのだろうが。