エルヴァン殿下の話では、オーバル子爵家もモルダン男爵家と同じことをしていることになる。事情はさらに、根深いものなのだろう。

「ネメルナ嬢との関係は、シャルメラ嬢の耳に入ったそうです」
「シャルメラ嬢の耳に?」
「ええ、そこからモルダン男爵の耳にも入り、男爵はオーバル子爵と話し合うことを選んだようです」

 メルーナ嬢の言葉に、私は事態がどのように進んだのかを理解した。
 要するに、シャルメラ嬢やモルダン男爵は、ネメルナ嬢が自分達と同じようなことをしていると、思ってしまったのだろう。
 多分、ネメルナ嬢の実態まではわかっていなかったのだ。それは結構、致命的なことであるような気はする。

「話を聞いたオーバル子爵は、ネメルナ嬢に話をすることもなく、アヴェルド殿下と交渉しました。自分もモルダン男爵と同じように扱ってもらいたいと」