「モルダン男爵は、そんなシャルメラ嬢と同じように計算高い男爵であるようです。彼は、それ程多くを求めませんでした。ある程度の税金などを誤魔化すだとか、そういったことをしていました。対価として、シャルメラ嬢を差し出して……」
「……」
「そんなことが続く中、オーバル子爵家のネメルナ嬢という令嬢が、アヴェルド殿下と出会いまいました。そこで彼女は、アヴェルド殿下に恋心を抱いたようです。そしてそのまま、関係を持ちました」

 ネメルナ嬢の名前が出て、私は彼女のことを思い出していた。
 彼女のことだ。多分、熱烈にアヴェルド殿下にアピールしたのだろう。
 そしてアヴェルド殿下も、それを断るような人ではないはずだ。例えシャルメラ嬢とのことがあっても、関係なんてない。

 ただ、問題はそれだけではないはずだ。