メルーナ嬢は、ため息をついていた。
 話してくれる気にはなったものの、彼女もすぐに整理できるという訳ではないのだろう。
 私もラフェシア様も、メルーナ嬢の言葉を待つ。別に焦っているという訳でもない。時間はまだいっぱいあるのだから。

「……ことの発端からお話ししましょうか。そもそもの始まりは、モルダン男爵家のシャルメラ嬢という令嬢がアヴェルド殿下と関係を持ったことでした」
「シャルメラ嬢が、ことの発端だったのですか?」
「ええ、彼女が舞踏会――恐らくは、リルティア様と婚約が決まる前の話でしょうが、そこで二人が出会って関係を持ったのが始まりのようです」

 メルーナ嬢の言葉に、私は少し驚いてしまった。