しかしそれは、はっきりと言って逆ギレでしかない。そもそも浮気したのが、悪いと思うのだが。

「確かに僕は、ネメルナと関係を持っている。彼とは君との婚約が決まるずっと前から付き合いがあった。もちろん、恋愛的な意味での付き合いだ」

 アヴェルド殿下は、こちらを少し軽蔑するような瞳で見つめてきた。
 浮気したのは彼であるというのに、どうして私がそのような目を向けられるのかは、正直よくわからない。
 ただ納得はできなくても、理解することはできる。私もアヴェルド殿下が言う程合理的な人間ではない。彼の怒りも、理解しているつもりだ。