ディートル侯爵家の屋敷は、ラフェシア様の実家であり、私も何度か足を運んだことがある場所だ。
 彼女の家族とも交流はあり、私の久し振りの来訪を歓迎してくれた。
 ただ、ディートル侯爵家の人々には私の来訪の本当の理由は話していない。今回は、ラフェシア様が知り合いを集めたお茶会を開いたということになっているからだ。

 そのお茶会に呼ばれたメルーナ嬢は、ラフェシア様が言った通りの穏やかそうな女性だった。
 ただ、ラフェシア様と彼女の共通の友人達の話では、今日はあまり元気がないらしい。
 その共通の友人達は、メルーナ嬢よりも一足先に帰宅した。彼女達は何も聞かず、私達に協力してくれているのだ。

 今回の目的は、当然件のメルーナ嬢にある。
 私とラフェシア様と彼女で話し合う。その状況を作るために、今回のお茶会は開かれたのである。