ラフェシア様の言葉に、私はなんとも言えない気持ちになった。
 深い交流があるラフェシア様の友人が、今回の件に関係している事実には、心が痛くなってくる。こんな所で繋がりがあったなんて、驚きだ。できればそのようなものはない方が良かったのだが。

「まさか彼女が浮気なんて……そのようなことができる子ではないと思っていたのだけれど」
「えっと、メルーナ嬢はどのような方なんですか?」
「よく言えば穏やか、悪く言えば気が弱いような子かしら。だから驚いているのよ。浮気なんて、そんな大それたことができる子ではないと思って」
「……ラフェシア様、もう一つ話しておきたいことがあります」

 ラフェシア様は、深くため息をついていた。
 やはり友人が今回の件に関わっていたことに、ショックを受けているのだろう。

 ただ私は、もう一つの事実を知っている。その事実から考えると、メルーナ嬢は望んでアヴェルド殿下と関係を持っている訳ではないかもしれない。
 そしてそれは、事件を解明する足掛かりになる可能性がある。さらに詳しい話を聞くためにも、私はラフェシア様に事情を話すのだった。