私の根拠のない感覚だけで、それを否定することは難しいことである。ただ、この場においてネメルナ嬢と実際に接しているのは私しかいない。私は彼女に関して思ったことを、二人に伝えておくべきだと思ったのだ。

「リルティア嬢がそういうなら、そうなのかもしれませんね」
「ああ、実際に接したあなたの感覚は信用できる。いやそもそも、三家の事情が全て同じと考えるべきではないのかもしれないな」
「なるほど、それぞれ事情があると考えるべきですか」
「ネメルナ嬢の場合は、本人はまったく関与していない所で、兄上とオーバル子爵が癒着しているということかもしれない」

 イルドラ殿下もエルヴァン殿下も、私の認識を支持してくれているようだった。
 そして二人の言う通り、今回の胡淵はそれぞれの家について考えるべきであることなのだろう。となると、ネメルナ嬢に当たるのは得策ではなさそうだ。他の二人が鍵となるかもしれない。