エルヴァン殿下のもたらした事実によって、私とイルドラ殿下は考えることになった。
 女性関係と税金に対する誤魔化し、その二つが関係していないとは思えない。状況的に、それらは密接していると考えるべきであるだろう。

「なるほど、アヴェルド兄上がその三家の子女と四股していたという訳ですか。それは確かに、興味深いことではありますね」

 それらも含めた話を聞いたエルヴァン殿下は、呆れたような笑みを浮かべていた。
 その表情からは、アヴェルド殿下への侮蔑の感情が伝わってくる。それは当然のことだろう。状況的に、彼はなんとも非道なことをしているということになるのだから。

「端的な答えを出すとしたら、アヴェルド兄上は税金を誤魔化す代わりに令嬢と関係を持っていると考えるべきでしょうか」
「……忌々しいことだが、それは確かにあり得ない話ではないな」