四股について把握していないエルヴァン殿下には悪いが、私もそちらの話が聞きたいので黙っておく。どうせ順番に話すことにはなるだろうし、彼には少し我慢してもらうとしよう。

「話と言っても、僕も詳しいことはそこまでわかりませんよ。つい最近知ったことですから、あまり調査も進んでいません。ただ税金関係の書類の整合性が、いまいち取れていないのです」
「そうなのか?」
「ええ、気になったのでそういった書類には全て目を通しましたが、ずれがあるように思います。そこで最近アヴェルド兄上が職員達の元によく赴いているのを思い出しましてね……」
「なるほど、それで関与を疑っている訳か」

 本の虫であるエルヴァン殿下も、王族として何もしていないという訳ではないようだ。