「いや違う。俺がしに来たのは、兄上の女性関係に関する話だ。四股とか、そういうことだ」
「は? 四股?」

 イルドラ殿下の言葉に、エルヴァン殿下は目を丸めていた。
 今まで割と冷静さを保っていた彼も、認識のずれと四股という大きな事実には、かなり動揺しているようだ。
 しかし気になるのは、彼が言っていることである。アヴェルド殿下の税金への介入、それはそれでかなり大事だ。

「四股なんて、そんな馬鹿みたいなことがあるのですか?」
「まあそれは後で話すとして、問題はお前が言っていることだ」
「いや、四股は気になるんですが……」
「女性関係ももちろん問題ではあるが、税金の話の方が国家的には問題だ。その話をしてくれ」

 エルヴァン殿下の言葉を、イルドラ殿下は強引に断ち切った。