だとしたら問題は、さらなる令嬢との関係が発覚するということである。四股していたら五股もあり得ることだろう。まあ今更、驚きもしないが。

「お前も何か知っているのか?」
「多分、イルドラ兄上も知っていることだとは思います」
「念のため確認しておきたい。言ってみてくれないか?」
「アヴェルド兄上が、税金を誤魔化していることでしょう?」
「うん?」
「え?」

 そこでイルドラ殿下とエルヴァン殿下は、顔を見合わせていた。お互いの認識が、ずれていることに驚いているのだろう。
 もちろん、私だって驚いている。どうやらアヴェルド殿下には、女癖以外にも悪い所があるようだ。

「エルヴァン、お前は一体何を知っているんだ?」
「え? イルドラ兄上は、アヴェルド兄上が税金の管理に介入して、不自然なずれがあるという話をしに来たのではないのですか?」