王族の問題を話し合うという場に、私がいる。それは確かに、おかしな話だ。
 ただ、エルヴァン殿下はすぐに元の平坦な表情に戻った。私がここにいる意味を、悟ったということだろうか。

「なるほど、アヴェルド兄上のことですか?」
「わかるものか?」
「我らが長兄は、なんだかんだと言って問題がある人ですからね。リルティア嬢をイルドラ兄上が連れて来たということは、アヴェルド兄上が何かを起こしたということではないでしょうか?」
「まあ、概ねその通りではあるが……」

 エルヴァン殿下は、少し意地の悪い笑みを浮かべながら、鋭い意見を述べていた。
 アヴェルド殿下に問題があると把握しているということは、彼も誰かしらの令嬢との関係を把握しているのかもしれない。