「……それにしても、兄上は予想していた以上の悪漢だな。まさか、リルティア嬢も含めて四股もしているなんて、思ってもいなかったことだ」
「それはそうですね。まあ、もう何人いても驚きはありません。一人浮気していたら、二人浮気している。二人いたら、三人目もいる。そういうものなのかもしれません」
「……待てよ。もしかして、まだいるのか?」
「その可能性も、あるかと思いますが……」
「はあ、仕方ないな。それについても、調査するべきだな。兄上も隠しているだろうし、わかるかどうかは微妙な所だが……」

 私の言葉に、イルドラ殿下は頭を抱えていた。
 アヴェルド殿下の行いは、王家の大きな失態として取り上げられることになるだろう。
 それはもちろん、彼にとっても大きな打撃になる。アヴェルド殿下の印象に、王族全てが引っ張られることになるからだ。

 今回の件では、イルドラ殿下には随分とお世話になっている。
 その恩を返すためにも、何かあったら協力するべきであるだろう。私は、お父様にそう進言することを決めたのだった。