「その浮気相手を、私よりも優先されたら困ると言っているんです。例えば、彼女との間に子供を作るなどという愚行などを、犯すつもりではありませんか?」

 私はあくまで、淡々と言葉を述べていく。
 ここで求められているのは、きっとそういう会話であるだろう。
 ただアヴェルド殿下は、明らかに気を悪くしているように見える。これでも私は、結構譲歩している方だと思うのだが。

「私達の婚約というものは、王家とエリトン侯爵家との間の契約であるということを忘れないでいただきたい所です。私達には、責任があるのですよ?」
「……そんなことは、わかっているとも」