「という訳で、イルドラ殿下に少し相談したいのです」
「……ウォーランに事実を知られたか。それは中々に厄介だな」

 私の報告に、イルドラ殿下はゆっくりとため息をついた。
 兄弟の仲はあまり良くないのだろうか。その表情からは、嫌そうな感じが伝わってくる。

「イルドラ殿下は、ウォーラン殿下と仲が悪いのですか?」
「いいや、そういう訳でもないさ。ウォーランは人当たりがいいからな。兄弟の仲でも、誰とでも馬が合う」
「ああ、誠実な方ですからね。アヴェルド殿下の浮気にも、憤っていました」
「まあ、そうだろうな……」

 ウォーラン殿下は、噂通りの真っ直ぐな人であるらしい。