私の言葉に、ウォーラン殿下は固まっていた。
 流石の彼も、アヴェルド殿下が関係を持っている女性が、他にいるなんて思ってはいなかったのだろう。その表情からは、困惑が伺える。

「……まさか兄上は、二股――いいえ、この場合は三股になりますか。複数の女性と関係を持っていたというのですか?」
「そうですね……そういうことになるのかもしれません」

 本当は四股であるということは隠しておいて、私はウォーラン殿下の言葉に頷いた。
 考えてみれば、アヴェルド殿下にさらに関係を持っている女性がいても、おかしいことという訳でもないのかもしれない。

 私との婚約がある状態で、他の女性と関係を持っていたのだ。彼のそういった事柄への線引きは、低いといえる。
 一人浮気相手がいたら、十人いてもおかしくないのかもしれない。まともな倫理観を期待する方が、馬鹿げているといえるだろうか。