「……一体どういうつもりなんだ?」
「……といいますと?」
「僕との婚約を破棄するなんて、どういうつもりだと聞いているんだ」

 アヴェルド殿下は、私に対して鋭い視線を向けてきた。
 どうやら彼は、私の行動について疑念を抱いているようだ。彼からしてみれば、それは当然のことかもしれない。
 私は彼と口論した後、彼と浮気相手のために身を引いている。その行動は、歪に思われていることだろう。

 そのままの状態では、私達の計画に支障が出る可能性がある。
 故に今回私は、アヴェルド殿下にも納得してもらうつもりだ。

「アヴェルド殿下、私はあなたとネメルナ嬢のことを支持します」
「……何?」
「お二人の関係が拗れてしまっているのは、私がいるからでしょう? 端的に言ってしまえば、私は邪魔者ということになります」
「いや、そんなことはないが……」