しかしそれはなんとも、愚かな考え方である。私がいる王城で浮気相手と会ったりしたら、バレる可能性だってあるだろう。

「……僕には何のことだか」
「隠さなくても結構ですよ」

 アヴェルド殿下は、私の質問を誤魔化そうとした。
 それは、当然といえば当然のことではある。しかし、同時に無駄なことでもあるだろう。私が名前を出した時点で、誤魔化せる段階などは終わっているのだから。

「別に、浮気を咎めようと思っている訳ではないのです。まあもちろん良いことではありませんが、しかしあなたがどうしてもそうしたいというなら、許容しても良いとは思っています。問題は浮気相手にどこまで入れ込んでいるか、ということです」
「な、何?」