「お父様は義に厚く寛大な方です。ですから、私の考えを知った上で見逃しているという可能性も、あると思うのです。私の行動を立場上肯定することもできず、人として否定もできない。お父様は、そういう人ですから」
「……そうかもしれないな」

 私の咄嗟の言葉に、国王様は少し天を仰いだ。
 私とアヴェルド殿下の婚約は、国王様にお父様が気に入られていたことが発端だといえる。お父様の人柄を、国王様はよく知っているのだ。
 故に先程の言葉には、効果があったと思っている。仮に今が本当に私が言った通りの状況だった場合、お父様はそういった行動をする人であるからだ。

「それに甘えることになっているのは、情けない限りです。私の行動は、お父様の負担になるということがわかっているというのに……私は自分の行動を止められません」
「……そこまで、アヴェルドとそのネメルナという令嬢に入れ込むのか?」