私は国王様に対して、決定的な言葉を口にした。
 それに対して、国王様は目を丸めている。ただ、彼はすぐにその表情を戻した。前置きがあったためか、そこまで驚いてはいないようだ。

「婚約破棄、か……それはエリトン侯爵の意思などもなく、君自身の判断であるということか?」
「はい。これは私の独断専行でしかありません」

 国王様からの質問に、私はゆっくりと頷いた。
 ただ、それは真っ赤な嘘だ。今回のことは、お父様も承知している。
 国王様ならば、それを見抜いているという可能性もあるかもしれない。ここはもう少し、あり得そうなことを言っておくべきだろうか。

「ただ、お父様はもしかしたらわかっているかもしれません」
「ほう?」