彼女は意外にも用心深いタイプであるようだ。私のことをまだ信用してはいないようだ。
 ただ、彼女の視線からは期待のようなものが感じられる。やはりアヴェルド殿下と結ばれることは、彼女の悲願なのだろう。

「メリットやデメリットという観点から言えば、確かに私にはメリットは存在しませんね。しかし、お二人のことは私にとってそれを度外視してでも、叶えたいことです」
「リルティア嬢は、ご実家であるエリトン侯爵家のことを考えていないのですか?」
「もちろん、その辺りについても考えていますよ」

 ネメルナ嬢は、色々とごちゃごちゃうるさい人だった。
 何も考えず、さっさと私の提案を受け入れてもらいたいのだが、流石にそういう訳にはいかないようだ。