「お辛いことですよね。地位の差というものは……」
「……あなたなんかに、そのようなことを言われたくはありません」
「いいえ、私もわからない訳ではありません。どちらかというと、アヴェルド殿下側の気持ちということになるでしょうか。覚えがあります」
「それは……」

 当然のことながら、私は自分より下の地位の人と恋愛的な関係にあったなどということはない。それ所か生まれてからこれまで、恋などしたことがないくらいだ。
 ただ、ネメルナ嬢には適当に話を合わせておく方がいいと思った。事実として、彼女は私に対して少し同情的な目を向けている。効果はあったということだろう。

「だからこそ、アヴェルド殿下やネメルナ嬢には私達のようになって欲しくないと思っているのです」
「え? それって……」