「それは……」
「関係というのは、当然男女の関係のです。お友達なんてものでは、ありませんよね?」
「……ええ、そうですとも!」

 私の質問に、ネメルナ嬢は椅子から勢いよく立ち上がった。
 なんというか、かなり怒っている様子だ。まだ話は始まったばかりなのだが、既に冷静さは欠片も残っていないらしい。

「あなたなんかとは、年季が違うんです」
「年季?」
「私とアヴェルド殿下は、もう四年もお付き合いしているのです。私は彼とずっと愛し合っていたのですよ? それをいきなり出て来たあなたに、どうして奪われなければならないのですか!」

 そんなことは知ったことではない。そう言いそうになりながらも、私は我慢した。
 別に私は、ネメルナ嬢と喧嘩をしに来たという訳でもない。相手の神経を荒立てるようなことは、避けるべきだ。