「いや、すまないな。こんな時間に訪ねてしまって。お前も疲れているだろうし、迷惑かもしれないとも思ったのだけれど」
「いいえお兄様、別に構いませんよ。どうして訪ねて来たのかも、大体わかっていますし」

 私のこれからのことについて、結局明確なことが決まった訳ではなかった。
 お父様も色々と悩んでいるらしく、結論を出すまでにはもう少し時間がかかりそうだ。
 そんな風に話が落ち着いた日の就寝前、兄であるラドルフが私の部屋を訪ねて来た。何故訪ねて来たかは明白だ。例の件について、お父様から聞いたのだろう。

「話が早くて助かるが……色々と大変だったようだね?」
「大変……そうですね。正直困っています。これからどうするべきか、悩んでもいます」
「ああ、父上も頭を抱えていたよ」

 お兄様は、苦笑いを浮かべていた。