エリトン侯爵家の屋敷に戻って来た私は、お父様に事情を話していた。
 話を聞いているお父様は、苦い顔をしている。せっかくの婚約に泥がついたということに、心を痛めているのだろう。
 しかしこれは、伝えておかなければならないことだ。このままアヴェルド殿下と結婚しても、絶対に良いことにはならないだろうし。

「という訳で、私は現在イルドラ殿下の協力の元にアヴェルド殿下のことを調べています」
「なるほどな……厄介なことになったものだな」

 お父様は、ゆっくりとため息をついた。
 それは仕方ないことだ。私だって、正直億劫である。
 ただお父様は、すぐに真剣な顔になった。既に自体を飲み込んだようだ。こういった所は、流石現侯爵である。