私とイルドラ殿下は、メルーナ嬢のことについて話し合っていた。
 オルテッド殿下からの情報から考えて、彼女は前モルダン男爵とシャルメラ嬢のお墓参りに行ったと思われる。
 そこで彼女は、何かしらによって害された。それにオーバル子爵家ナーゼルの関与は、恐らくない。それが今わかっていることだ。

「……イルドラ殿下、ある一つの可能性があると思うんです」
「可能性?」
「メルーナ嬢は、モルダン男爵家のお墓参りに行った訳ですよね? その場合、やはりモルダン男爵家の屋敷を訪ねることになるのではないでしょうか? こっそり行くとも、考えにくいですし、話は通すはずです」
「まあ、それはそうかもしれないな……」

 私は、ある一つの可能性に思い至っていた。
 アヴェルド殿下の事件に関わっていたもう一つの家、モルダン男爵家のことだ。