ただ彼女は、実の父親に対しては辛辣だったような気もする。その辺りは、身内とそれ以外で違うということだろうか。いや全てが終わったため、心境に変化があったのかもしれない。

「だからさ、仮にメルーナ嬢がモルダン男爵家の領地に行ったなら、やっぱりお墓参りなんじゃないかって思うんだよ。ほら、亡くなった二人の」
「なるほど……それはそうかもしれないな」

 私とイルドラ殿下は、また顔を見合わせることになった。
 お墓参りという可能異性は、確かにありそうではある。私だって一応は、アヴェルド殿下の一件で亡くなった二人のことは悼むつもりだった。色々とあったとはいえ、そのくらいの気持ちは芽生えるものだ。

 メルーナ嬢も、きっと同じように考えたのだろう。
 しかしそれなら、どうして彼女はそこから帰って来ないのだろうか。私達は、またそのことについて考えることになるのだった。