「どんな話をしたのか、一応聞かせてもらってもいいか? もしかしたら、メルーナ嬢を見つける手がかりになるかもしれない」
「ああ、俺もそのつもりで来たんだ。実はさ、メルーナ嬢とはアヴェルド兄上のことを話したんだ」
「何?」

 私とイルドラ殿下は、顔を見合わせた。
 アヴェルド殿下の名前が出て来るとは、意外である。メルーナ嬢が彼のことを話すとは、あまり思えないのだが。

「兄上のことを……何の話をしたんだ?」
「メルーナ嬢は、アヴェルド兄上のことを悼んでいたんだよ」
「悼む……」
「ああ、優しい女性なんだろうな。あんなのことを悼んでくれるなんてさ」

 オルテッド殿下は、アヴェルド殿下に対して辛辣だった。
 それは当然のことではあるのだが、そんな彼に対してもメルーナ嬢は慈悲の心を見せているようだ。