「なんだか大変なことになっているみたいだな?」
「ええ、まあ……」

 オーバル子爵家のナーゼルから話を聞き終えた私とイルドラ殿下の前に現れたのは、オルテッド殿下だった。
 彼は不安そうな顔をしながら、質問をしてきた。第五王子である彼も、メルーナ嬢の失踪については聞いているようだ。

「メルーナ嬢のことを、オルテッドは知っているのか?」
「ええ、イルドラ兄上。少し話をしたことがあるのです。つい先日のことですが……」
「そうだったのか。それは知らなかったな」

 オルテッド殿下の言葉に、イルドラ殿下は驚いていた。
 私も驚いている。その二人に繋がりがあったなんて、思ってもいなかったからだ。
 とはいえ、王城に来ていたのだから、王子と話をしていてもおかしくはない。オルテッド殿下は、年少であるが故に他の王子よりも話しやすい所があるし、納得はできる。