「ゼオットさん、メルーナ嬢は道中で何かを言っていましたか? どんなことでもいいのですけれど、今はとにかく情報が欲しいのです」
「えっと、私もそれ程話をしたという訳ではありませんので……」
「日常的な会話など、されませんでしたか? そういうのでもいいんです」
「日常会話……ああ、そういえば、お世話になっている方のことを話していましたね。またお世話になるかもしれないから、何か恩返しがしたいと」
「それは……」

 メルーナ嬢がお世話になっている人といえば、ラフェシア様であるだろう。
 彼女に恩返しがしたいと考えていたなら、今回の事件で思い詰めて、なんてことはないのかもしれない。
 となると、これは自発的な失踪ではないように思える。恐らく何者かが、メルーナ嬢を害しているのだ。

 やはり、オーバル子爵家絡みだろうか。
 となると、ウォーラン殿下からの情報が欲しい所だ。彼は無事にオーバル子爵家から、話が聞けたのだろうか。