私はウォーラン殿下とともに、ディートル侯爵家の屋敷に来ていた。
 メルーナ嬢の失踪を教えてくれたのは、ラフェシア様である。故にとりあえず、彼女から話を聞いてみることにしたのだ。

「まさか、ウォーラン殿下がこちらにいらっしゃるとは思っていませんでしたが……」
「すみません、急な来訪で。しかしながら、僕もメルーナ嬢のことが心配でして」
「いいえ、謝るようなことではありません。むしろ助かります。協力してくれる方は、一人でも多い方が良いですから」

 私の来訪はともかくとして、ウォーラン殿下の来訪はラフェシア様も予想していなかった。そのため、かなり驚いているようだ。
 しかし、ウォーラン殿下及び王家の助力というものは、やはりありがたいものである。今は猫の手でも借りたい状況だ。それが猫所か王家なんて、とても恵まれているといえる。