「可能性はゼロではないでしょう。とにかく、僕はメルーナ嬢のことが心配だ」

 首謀者であるオーバル子爵が捕まった以上、既に危険はないものだと思い込んでいた。
 それは浅はかだったのかもしれない。逆恨みという可能性は、充分にある。
 いや、そうでなかったとしても、メルーナ嬢が何かしらの危機に巻き込まれていることは間違いない。行方不明なんて、はっきり言って大事だ。

「私もメルーナ嬢のことが心配です。どうやら行き先を変える必要がありそうですね……」
「それなら僕も行きますよ。メルーナ嬢には、一度申し訳ないことをしてしまっている。その償いという訳ではありませんが、彼女のことを助けたい」
「……わかりました。それなら、行きましょう」

 私は、ウォーラン殿下の言葉にゆっくりと頷いた。
 彼の助けは、はっきりと言ってありがたいものだ。王家の助力があれば、メルーナ嬢を早く見つけ出せるかもしれない。