「それなら父上は、一体何について考えていたのですか?」
「いや、お前のこれからについて考えていたのだ。王位を継ぐからには、これまで以上に学ぶべきことが多くなる。アヴェルドに注いでいたものを改めてお前に注がなければならない」
「なるほど……それは確かに、由々しき問題なのかもしれませんね」

 国王様の言葉に、イルドラ殿下は少し嫌そうな顔をした。
 王になるための教育なんて、どう考えても大変なものだ。その気持ちはよくわかる。私だって、他人事という訳ではないからだ。
 王妃になるために、これから私は色々なことを学ばなければならないだろう。気が引けることではあるが、こればかりは仕方ない。むしろ気を引き締めて、臨むべきことだ。

「さてと、リルティア嬢、エリトン侯爵家に対して既に文書は出してあるが、やはり君も直接報告したいだろう」