「なるほど、そうなったか」

 私はイルドラ殿下とともに、国王様の前に立っていた。
 誰を選んだか、報告するためである。
 国王様は、私の結論に何か考えるような表情を見せた。何か、不満などがあるのだろうか。

「父上、何か不満ですか?」
「ああいや、そういう訳ではない。イルドラ、私も最初にお前に王位を継がせることを考えた」
「そうなのですか?」
「お前は王位に相応しい男だ。それは間違いない」

 イルドラ殿下も、私と同じような思いを抱いていたようだった。
 ただ、彼の質問に国王様は首を振っている。その表情に、嘘偽りなどはなさそうだ。本当に、イルドラ殿下を王に据えることに異論はないのだろう。
 それなら一体、何を考えていたというのだろうか。それが気になって、私とイルドラ殿下は顔を見合わせることになった。