ただとにかく私は、イルドラ殿下を選びたいと思っている。それはきちんと、伝えておくことにしよう。

「私は、イルドラ殿下を選びます。私はあなたに、次の国王になってもらいたいと思っています。イルドラ殿下なら、きっとこの国を良き方向に導ける」
「……それは過大評価であるような気もしてしまうがな」
「過大評価というなら、私の方ですよ。次期国王を選ぶなんて大役を任されているのですから。それでも私は、自分の選択に自信を持っています」

 イルドラ殿下が王に相応しいというのは、私の紛れもない本心だ。
 彼は、アヴェルド殿下とは違う。正しく国を導ける人だ。それを私は、確信している。

「もちろん、私はこの選択の責任を取るつもりです。王妃としてイルドラ殿下の隣に立ち、あなたを支えてみせます」
「リルティア嬢……」
「イルドラ殿下は、それを受け入れてくれますよね?」

 私の言葉に、イルドラ殿下はゆっくりと息を呑んだ。